
昨年12月に続き南十字店内でのライブ付きイベント開催です…!間を空けずに出来てよかった。
今回来ていただくのは、詩人の管啓次郎さんと音楽家の小島敬太さん(aka.小島ケイタニーラブなので以下、自分が普段使用しているケイタニーさん呼びでいきます)。お二人は2011年の震災後から古川日出男さん、柴田元幸さんと共に朗読劇「銀河鉄道の夜」の活動を開始。そして宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』を執筆してからちょうど100年となった昨年、「北」へ憧憬を抱いていたであろう宮沢賢治の詩の言葉を携えながら、フィンランド北部サーミランドへの旅を決行し、旅の記録として『サーミランドの宮沢賢治』を刊行しました。当日お二人には『サーミランドの宮沢賢治』にまつわるトークとパフォーマンスをしてもらう予定で、より多層的に当書と宮沢賢治の世界に浸れるはず。
ちなみにケイタニーさんは南十字成川の「象の小規模なラジオ」にバンドで活動していた頃から出演してくれ、小田原やその周辺でも何度か演奏もしてもらっていました。ここ数年はミュージシャンの宮内優里さんと共に市内小学校でのアウトリーチプログラムにも。すっかり執筆活動の方が多くなったケイタニーさんと、今回本を通してのイベントが出来るだけでもうれしいのですが、管さんも一緒という我々得な催しになりました。南十字という店名や、店舗隣には電車展示してあったりと、何かと宮沢賢治を想起させる本屋としてようやくの宮沢賢治イベント。みなさまのご参加お待ちしております!(な)
<イベント情報>
日時:2025年3月2日(日) 開演14:00(開場13:30)※16:00終演予定
ゲスト:管啓次郎、小島敬太
参加費:2,000円
場所:南十字
※参加希望の方はお問い合わせフォーム、または各種SNSにて、「3/2イベント予約」と明記のうえ、お名前と参加人数を記載しご連絡をお願いします。定員は20名ほどを予定しております。
■管啓次郎(すが・けいじろう)
1958年生まれ。詩人、比較文学研究者。明治大学理工学部および同大学院〈総合芸術系〉教授。2011年から、古川日出男・柴田元幸・小島ケイタニーラブとともに朗読劇「銀河鉄道の夜」の活動を始める。2022年、同朗読劇で宮沢賢治賞奨励賞を受賞。 2011年、『斜線の旅』で読売文学賞受賞。著書は他に『コロンブスの犬』『コヨーテ読書』『オムニフォン』『本は読めないものだから心配するな』『ストレンジオグラフィ』『エレメンタル 批評文集』『本と貝殻』『ヘテロトピア集』など。詩集に『Agend’Ars』『数と夕方』『犬探し/犬のパピルス』『PARADISE TEMPLE』『一週間、その他の小さな旅』など。訳書に、ル・クレジオ『ラガ 見えない大陸への接近』、サン₌テグジュペリ『星の王子さま』、エドゥアール・グリッサン『第四世紀』など多数。
■小島敬太(こじま・けいた)
1980年生まれ。音楽家・作家・翻訳家。早稲田大学第一文学部卒業。シンガーソングライター「小島ケイタニーラブ」として、NHKみんなのうた「毛布の日」などを制作。2011年から古川日出男・柴田元幸・管啓次郎とともに朗読劇「銀河鉄道の夜」の活動を始め、出演および音楽監督を務める。2022年、同朗読劇で宮沢賢治賞奨励賞を受賞。 著書に『こちら、苦手レスキューQQQ!』(絵・木下ようすけ)、共著に『花冠日乗』など。訳書に『中国・アメリカ 謎SF』(柴田元幸との共編訳)、中国の児童文学『紫禁城の秘密のともだち』シリーズ(作・常怡、絵・おきたもも)がある。 東京新聞・中日新聞の書評コーナー〈海外文学の森へ〉、K-MIX(静岡エフエム)のラジオ番組〈魔法の国の児童文学〉を担当。

『サーミランドの宮沢賢治』
管啓次郎・小島敬太 著
アスタ・ブルッキネン 装画,中島浩 装幀
白水社
『銀河鉄道の夜』起筆100年となる今年2月、朗読劇『銀河鉄道の夜』の活動を東日本大震災後から続けてきた著者は、「北」へ憧れていた賢治の魂と言葉を、最北の地であるサーミランドに連れて行く旅を決行した。真冬には零下30度にもなる北極圏だ。本書は賢治の詩想を追い求めてきた二人が、北の果てで賢治と向き合った旅の記録である。
先住民のサーミの人々が住み、「サーミランド」と呼ぶ地は、「ラップランド」のことだが、サーミ人は「ラップランド」とは決して言わない。現地の目を通して初めて見えてくる差別意識は、賢治が抱いていた劣等感をも浮かび上がらせる。二人は、サンタクロースの町ロヴァニエミから北へ向かい、フィンランド最北の村に住むサーミの詩人イマさんの自宅を訪ねた。トナカイの肉をごちそうになりながら、生活や思想、文化を直接体験し、さらにサーミの聖地である湖の上で賢治の詩を朗読し、その声を土地に響かせた。近代文明に浸かって無意識的に生きている自らに批判的な眼差しを向け、自然観を大きく揺さぶられながら、生と死、〝ほんとうの幸い〟の意味を北の果てで問い続けた旅の終わりに最大の気づきと感動が読者を待ち受けている。
『銀河鉄道の夜』を次の100年に向けて走らせる渾身の書き下ろし!